曲目解説 イーハトーヴ・リコーダー合奏団公演「星の国の音楽会」のプログラム1〜3の曲目解説です。 1.宮澤賢治作曲、及川茂編曲/『星めぐりの歌』 『星めぐりの歌』はチュンセとポウセという二人の星の童子が星めぐりの冒険の旅に出るという童話『双子の星』からの音楽です。 童話の中では二人の童子が「あかいめだまのさそり、ひろげた鷲のつばさ。〜」と銀の笛で歌に合わせて吹きます。 この曲を賢治は夜空に五線紙を当てて、星の光をつないで作ったとも言われています。 ★歌詞 2.及川茂編曲/『ポランの広場』の音楽から
『ポランの広場』は『ポラーノの広場』の初期形の作品として書かれました。賢治は物語の中の一部を戯曲として書き上げました。当音楽会では『第2幕ファンタジー』として書かれた戯曲の中で唄われる歌を2曲と『ポラーノの広場』からの1曲を演奏致します。 1曲目の『牧者の歌』は牧者が気持ち良く「けさの六時ころワルトラワラの峠をわたしが越えようとしたら・・・」と唄い出しますが、やがて山猫博士に遮られてしまいます。 原曲はスピルマン作曲の『アフトン川』です。 ★歌詞 2曲目の『ポランの広場』はごう慢で酔っ払いの山猫博士がいやみを含めて「つめくさの花の咲く晩に、ポランの広場の夏まつり。酒を呑まずに水を呑む〜」と唄います。 原曲はエヴァンス作曲の「In the good old summer time」です。 ★歌詞 3曲目の『ポラーノの広場のうた』は童話『ポラーノの広場』の最後のシーンに出て来ます。 主人公に古い友達が送った郵便の中に入っていた曲です。 「つめくさ灯ともす夜のひろば、むかしラルゴをうたひかわし〜はえある世界をともにつくらん」昔の思い出と希望を唄っています。 原曲はアメリカの福音唱歌作曲家であるガブリエル作曲の讃美歌第148番「いずれのときは」です。 賢治は、自らこの曲を丁寧に手書きで写し、"IHATOV" FARMERS SONG(農民歌)として教え子達に配ったといわれています。 ★歌詞 3.宮澤賢治作曲、及川茂編曲/戯曲『種山ヶ原の夜』の歌から
「種山ヶ原」とは種山高原の古い言い方です。 現在種山は、正式には物見山とされていますが、地元では古くからの「種山」という呼び方が一般的です。 江刺市、遠野市と住田町にまたがる大きな山です。賢治はここに地質調査を含め数回足を運んでいます。 現在、車で行っても大変なのですが、賢治は花巻から五輪峠を越えて、人首(ひとかべ)の部落を抜けて、歩いて行ったそうです。 賢治の教え子で花巻在住の照井謹二朗先生のお話によると、賢治は明治生まれの人としては大柄で身長が170cm以上はあったらしいとのことなので、きっと健脚の持ち主だったのでしょう。 そして、種山に向かう道すがら『牧歌』や『応援歌』を口ずさんだことでしょう。 賢治はよほど種山ヶ原が気に入っていたとみえ詩集『春と修羅・第二集』、文語詩、童話、戯曲と様々な形で作品を残しています。 戯曲『種山ヶ原の夜』は童話『種山ヶ原』をベースにして書かれました。 1曲目の『応援歌』は劇の主人公「伊藤奎一」が日雇いの草刈達と雑談するシーンで、睡魔に襲われながら唄います。 ★歌詞 2曲目の『牧歌』は「伊藤奎一」が刈った草を探すシーンで樹霊が囃し立てるように唄います。 ★歌詞 プログラム4〜6解説 プログラム7〜9解説 プログラム10解説 HOME |